医療法人の設立の際、診療所の建物は、自己所有の建物を医療法人に拠出して設立すべきか、賃借して設立すべきなのでしょうか。
理事長就任予定者の診療所の建物を拠出して医療法人の診療所にする場合
医療法人の診療所の建物について、平成24年5月31日医政発0531改正平成19年3月30日医政0330049号によると医療法人の施設又は設備は法人が所有するものであることが望ましい。」としながらも、賃貸借契約による場合も「契約が長期間にわたるもので、かつ、確実なものと認められる場合には、その設立を認可して差し支えない」として、賃借によって診療所を開設し、医療法人を設立することも認められています。
個人診療所の建物を医療法人に拠出すると、医療法人解散の際、建物は国、地方公共団体、公的医療機関、財団医療法人、持分の定めのない社団医療法人に帰属されることになり(医療法施行規則第31条の2)、拠出者である理事長には戻ってこないことになります。
理事長就任予定者の個人診療所の建物に医療法人賃貸して設立できますか
できます。もっとも医療法人は、剰余金配当が禁止されていること(医療法第54条)から、剰余金配当と認められるような高額なものであってはなりません。
そのため、近隣と比較して著しく高額か否か医療法人設立の審査に当たって判断できるように、この場合には、近傍類似(周辺の賃料相場)に関する書類の添付を要求されています。
第三者から賃借している個人診療所を医療法人の診療所として設立する場合
個人診療所と医療法人は別個の人格なので、この場合賃借人の変更ということになり、覚書等で、賃借人を医療法人に読み替えてもらうための承諾を得ることが必要になります。
また、個人診療所の賃貸が転貸である場合、貸主の承諾だけでなく、所有者の承諾書類も必要になります。転貸人がMS法人や取引業者である場合、なぜ所有者から直接賃借しないかその理由書を求められ、場合によっては直接賃借するよう求めてくる都道府県もあります。もっとも転貸借が転貸借を容認しているマスタ―リース契約の場合には原契約書(マスターリース契約書)のコピーで足ります。
賃貸借契約の期間は、上述の平成24年5月31日医政発0531改正平成19年3月30日医政0330049号によれば、長期であることが求められますが、更新規定があるばあいには、賃貸借期間が短期でも足りるのが大方の都道府県です。
更新規定がない場合には、覚書に「賃貸借期間についても、契約更新(再契約)によって長期間とすることを妨げない」といった一文をつけることを求める都道府県もあります。貸主が更新契約もこの一文の覚書に応じない場合には、期間に移転しても経営は安定しているという移転した場合の事業計画書と予算書を添付お求める都道府県もありますが、契約終了後も近隣に移転して診療所を続ける旨の誓約書で足りる都道府県もあります。
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