医療法人化に伴う保険医療機関指定の遡及

個人診療所を法人化しようと考えていますが、医療法人設立により、個人診療所を廃止し、保険医療機関の指定は失効すれば、医療法人化した診療所が保険医療機関指定を受けるまでの間は保険診療を行うことはできないのでしょうか

医療法人化した診療所の保険医療機関指定の効果は、法人設立後の診療所の開設日に遡らせることができます。

個人院の法人化の流れ

個人診療所を医療法人化するには①医療法人設立の都道府県認可(医療法第44条第1項)、②医療法人設立の登記(医療法第46条第1項)③医療法人の診療所開設の保健所の許可(医療法第7条第1項)④個人院の廃止届(医療法第9条第1項)医療法人の診療所の開設届(医療法第8条)、⑤厚生局へ提出する個人院の保険医療機関指定廃止、医療法人の診療所の保険医療機関の指定という流れになります。

個人院から医療法人化に伴う保険医療機関の遡及

医療法人の保険医療機関指定は、前月の10日前後の締め切りまでに保険医療機関指定申請すると、指定を受けうるのは翌月の1日からとなります。そのため保険医療機関の遡及を認められないと個人診療所の保険医療機関指定廃止により失効してから保険医療機関の指定までの間に来られた外来の患者さん等が保険診療できなくなることになります。そこで、個人診療所から法人化した場合で、患者さんが引き続いて診療を受けている場合は、保険医療機関指定日から医療法人の診療所の開設日に遡及して保険医療機関の効果が生じることが認められています。

保険医療機関指定の遡及が認められた場合の診療報酬請求

医療法人の診療所に保険医療機関指定の遡及が認められた場合、保険医療機関指定前の遡及する開設日から医療法人の診療所で診療報酬を請求することになります。例えば医療法人の診療所開設日を4月1日、4月の10日前後の締切日までに保険医療機関指定申請した場合、保険医療機関指定は翌月の5月1日になりますが、医療法人の診療所の保険医療機関指定は4月1日になり、3月31日までは、個人診療所で診療報酬を請求し、4月1日から保険医療機関コードは白紙にし、医療法人の診療所で保険請求することになります。 新しい保険医療コードは5月1日以降保険医療機関指定通知書等で明らかになったときに担当の地域の厚生局事務所に連絡をすることになります。診療報酬は請求してから、通常振込まれるのには2か月くらいかかるので、個人院の報酬と切れ目なく連続することになります。

法人設立後、診療所開設まで看板を変えるなどして準備に1.2ヵ月がかかりますが、その場合も個人院と医療法人の診療所の保険医療機関の診療報酬は切れ目なく連続するのでしょうか

医療法人の設立は登記のときになります(医療法第46条第1項)が、保険医療機関指定が個人院か医療法人の診療所かは開設時期が基準になります。設立準備のため開設時期を1,2か月遅れても、開設時期まで個人院で保険請求でき、保険医指定を遡及させて開設後法人として保険請求できます。もっとも、開設時期が1年以上遅れた場合は、医療法人設立認可の取り消しの対象になります(医療法第65条)。

保険医療機関指定の遡及が認められるのは他にどのような場合ですか

遡及が認められる場合

保健医療機関の遡及がみとめられるのは上述の個人院が法人化した場合の他、①医療法人が個人院に変更した場合で患者さんが引き続き診療を受けている場合、②保険医療機関が個人院から法人、又は法人から個人院になった場合で患者さんが引き続き診療を受けている場合、③個人院で院長先生(管理者)が交代するなどして開設者を変更し(医療法第12条第1項)、引続き開設した診療所に患者さんが引き続き診療を受けている場合④診療所が原則として2km以内に移転し同日付で診療所を廃止して移転した診療所を開設し、患者さんが引き続き診療を受けている場合などです。

遡及が認められない場合

単に①個人診療所を新規に開設する場合②医療法人で分院を新規に開設する場合③診療所を県外に移転するなど至近距離とはいえない移転などについては保険医療機関の遡及は認められません。

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