医療法人を設立すると個人診療所のときとどう違うか

個人診療所を経営していますが、顧問税理士さんから医療法人化を進められ、医療法人を設立しようと考えています。医療法人化すると個人診療所とどのようにかわるのですか

医療法人化するとできる業務が限定されます。

医療法人は診療所を目的として設立されます(医療法第39条)。したがってその行為は診療行為、それに付随する行為及び附帯業務に限られ(第42条)に限定されそれ以外の行為は行うことができません。

また営利行為も行うことはできず(医療法第7条第6項)、医療法人の役員が他の営利法人の役員と兼務することも許されません(医療法人運営管理指導要綱)。

さらに医療法人は地域に永続的に医療を提供するために許可されたものであるから、医療法人が永続するように個人診療所より医療経営の都道府県の干渉が強くなります。

そのため以下のようになります。

法人化に拠出した資産は診療行為等以外に使用できなくなる。

上述のように医療法人の行為は診療行為等に限定されるので、医療法人に拠出して資産は、医療器材の購入や電子カルテの導入等診療行為等に限られ、それ以外の理事長にお金の貸出は無利息で営利性がない場合でもできません。また医療法人の所有する建物の賃貸等もできません。

個人診療所の負債は法人化によってどうなりますか

個人診療所の負債のうち、個人診療所の運転資金に使った費用については、法人化に伴って医療法人に引継がれませんが、内装工事、医療機器等診療を行うため医療法人に拠出したものに使った費用については医療法人に引継がれることになります。

法人化すると届出・認可等の手続が必要になります。

上述のように医療法人は地域に永続的な医療を提供するものであり、そのため医療法人の経営が安定するよう都道府県が干渉します。まず、毎年都道府県に決算等の事業報告書等提出書を届出る必要がでてきます(医療法第52条)。それととともに資産増減を登記し(組合等登記令第2条第6号別表)届出る必要があります(医療法施行令第5条の12)。事業報告書等提出書の営業外利益損失、特別利益損失をみて診療行為以外の営利行為を行っていないか、事業報告書等提出書が出されていない場合医療法人が開業しているのか調べられることもあります。

また役員が変更されば、届出る必要があり、理事長の変更については登記して届出る必要があります。

役員の変更がなくても役員の任期は2年以内なので(医療法第46条の5第9項)、2年に1回重任の役員変更届を都道府県に届出る(医療法施行令第5条の13)とともに理事長についても重任の登記(組合等登記令第2条第4号)をして届出ることを要します(医療法施行令第5条の12)。

解散の場合の法人資産

医療法人が解散する場合、出資した理事長等には残余財産分配請求はなく、債権者に弁済し、従業員に退職金を支払い、自身の退職金を受けとっても余る残余財産は、出資者たる理事等には戻ってこなく国、地方公共団体等に帰属します(医療法第56条、医療法規則第31条の2)。

それゆえ逆に医療法人に拠出した資産は、相続財産にならず、理事長にご子息が後を継ぐ等後継者がいる場合には相続税がかからないこともあります。

医療法人制度の活用

以上のように、収益が多い場合には、個人診療所を医療法人化する方が所得税は有利ななりますが、医療法人の資産から直接は住宅資金、教育資金、老後資金は賄えません。

医療法人設立に際しては、個人資産のうち診療所のために使用する資産は法人資産に分け、個人資産を残し、基金制度を活用して法人から拠出した資産を引き出し(引き出すには要件が必要です。)住宅資金、教育資金に充て、あるいは退職金等で老後資金に備える。また医師の後継者がいる場合といない場合とに分けて医療法人制度を活用してライフプランをたてられるといいです。

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