医療法人社団設立の際に添付する医療法人社団の定款の作成のポイントはどのようなものですか
医療法人社団の定款とは
定款とは、医療法人社団の活動や組織等の基本事項を定めたルールです。
医療法人社団設立の際、設立者は、まず医療法人は基本事項を定める必要があるので、定款を定めます(医療法第44条2項)。定款を定めれば、医療法人自身も拘束します(医療法第64条等)。医療法人の設立は都道府県に認可を得なければなりません(医療法第44条1項)が、この定款は医療法人設立認可を受ける際、申請書の添付書類として都道府県に提出することになります(医療法第44条第6項医療法施行規則第31条第1項)。
定款をいったん定めると、事務所の所在地と公告方法を除いては(医療法第54条の9第3項医療法施行規則第33条の26医療法第44条2項第4号第12号)定款変更するには都道府県の認可を受けなければ効力が生じません(医療法第54条の9第3項)。定款作成は慎重に行う必要がございます。
医療法人社団の定款に記載すべき事項とは
医療法人社団の定款に記載すべき事項は次の通りです(医療法44条第2項)。
①名称及び事務所(医療法第44条第2項第2号第4号)
②目的及び事業(医療法第44条第2項第1号第3号、第42条)
③基金(任意的記載事項)(医療法施行規則第30条の37第1項)
④資産及び会計(医療法第44条第2項第5号)
⑤社員及び社員総会(医療法第44条第2項第2号第8号)
⑥役員(医療法第44条第2項第6号)
⑦理事会(医療法第44条第2項第7号)
⑧定款の変更(医療法第44条第2項第11号)
⑨解散、合併及び分割(医療法第44条第2項第10号)
⑩公告の方法(医療法第44条第2項第12号)
⑪設立当初の役員(医療法第44条第4項)
医療法人社団の定款の上述の各記載事項の作成のポイントは
医療法人社団の定款については、各都道府県のホームページ等でモデル定款がアップされていて、これと異なる定款を作成するとモデル定款通りの作成するように都道府県から指導を受けます。定款の作成は、各都道府県のモデル定款をダウンロードして作成することになります。その際のポイントは以下の通りです(以下厚生労働省のモデル定款の条文によりました)。
ア 第1章 名称及び事務所
第1条の医療法人の名称は、同一都道府県又は近隣の都道府県と同一名称か紛らわしい表記はできない等の制限があります。事前に設立を申請する都道府県に問い合わせた方がいいでしょう。
イ 第2章 目的及び事業
第4条の診療所名の名称についても、制限がありますが、こちらについては都道府県ではなく、診療所を開設する保健所に事前にご確認ください。
ウ 基金
厚生労働省のモデル定款には基金の章は設けていません。基金制度(医療法人に拠出した金銭その他の財産を定款の定めに従って拠出者に返還してもらえる制度)を定款で定めると効力が生じます(医療法施行規則第30条の37第1項)。反面、定款に定めないと効力が生しぜず、拠出した金銭を後から返還してもらおうと思っても戻ってこないことになります。定款を作成する際には、注意する必要がございます。基金の記載については各都道府県のモデル定款に記載してありますので、そちらを参考にしてください。
エ 資産及び会計
第7条の基本財産(不動産や運営基金等医療法人に不可欠の財産であり、原則として処分できない財産)については規定がありますが、設定しないのが通常です。処分、担保が容易にできなくなるため、万一の場合の資金繰りに困るおそれがあるからです。
第11条の会計期間については、4月1日~翌年3月31日とする必要はなく、任意の1年(例5月1日~翌年4月30日)を定めても差し支えありません(医療法第53条但書)。
オ 役員
第31条の医療法人の役員は理事長1人、理事3人以上で監事1人以上が原則です(医療法第46条の5第1項本文)。
例外的に理事のついて都道府県知事の認可があれば、1人または2人の理事を置くことができます(医療法第46条の5第1項但書)が、例外が認められるのは東京都の場合離島等の特殊の場合に限られます。もっとも他の都道府県では認められる場合もありますので、ご確認して下さい。
理事長の他常務理事等の役職の理事を置くこともできますがこともできますが、設立総会で職務の内容や必要性等を示して選任し、設立総会議事録に記載する必要がございます。
なお理事長を2名置いて、共同代表とすることはできません(医療法第46条第1項本文)。
カ 解散、合併及び分割
第42条の解散事由について、東京都のモデル定款の解散事由は医療法第55条第1項の解散事由どおりですが、神奈川県のモデル定款は他に医療法人が診療所をすべて廃止した場合が解散事由に入っています(神奈川県社団医療法人定款例第45条第1項第3号)。注意が必要です。
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