個人診療所を医療法人に取り込むことによる新規診療所開設(分院)

医療法人の新規診療所(分院)の開設

医療法人の新規診療所(分院)の開設には、最初から新規診療所(分院)を開設する場合の他、すでに開設している個人診療所を医療法人に取り込むことで、新規診療所(分院)の開設する場合とがある。

個人診療所を法人に取り込む場合の新規診療所(分院)の開設も、通常の新規診療所の開設と同様に、①都道府県に対する定款変更認可申請②法務局に登記③保険所に開設許可、開設届、エックス線装置設置届③厚生局に保険医療機関指定届が必要であることは同様です。

しかし、個人診療所を廃止するとともに、個人診療所の医療施設等を引継ぐため以下の違いが生じます。

最初から開設する場合と個人診療所を引継いで新規診療所(分院)を開設する場合の違い

①定款変更認可申請

個人診療所を引継ぐ場合、新たに医療機器を購入せず、医療施設を新たに賃貸するものではございません。

医療機器等については、個人診療所の所有するものを簿価で拠出あるいは購入することになります。

賃貸借についても個人診療所の医療施設の賃貸借を引継次ぐことになります。引き継ぐばあいには、賃借人の交代による覚書等を賃貸人に押印してもらうことが必要になります。本申請の前からあらかじめ覚書のドラフトを示して、賃貸人に説明して打診しておく必要があります。

個人診療所の負債ついても同様です。

②登記

登記については、新規開設と変わりわなく、目的等の変更になります。

③開設許可、開設届、エックス線装置設置届

個人診療所を取り込む場合は、個人診療所の廃止を伴うので、以上の手続の他、個人診療所の廃止届、エックス線装置廃止届が必要になります。

④保険医療機関指定申請

この場合も個人診療所の廃止を伴うので、個人診療所の保険医療機関廃止届が必要になります。

反面個人診療所を引継ぐので遡及がみとめられます。

新規診療所を開設するばあい、遡及は認められません。例えば、7月1日に開設許可が下りて、保険指定申請期間の7月1日~10日の間厚生局に保険医療機関指定申請をした場合、保険診療が可能なのは指定を受ける8月1日からになり、それまでは自由診療しか行えないことになります。

これに対して、個人診療所を引き込んで新規診療所を開設する場合、8月1日に保険医療機関指定が受けたとしても、開設許可が下りた7月1日に遡及して、7月1日から保険診療できることになります。

但し、法人の新規診療所(分院)の開設と同時に、管理者を廃院前の個人診療所管理者を交代する場合、診療所は継続せず、新規開設とみられ遡及が認められない場合がございます。法人の新規診療所(分院)開設後も①しばらく管理者にとどまってもらうか②廃院前から勤務していた医師の方に管理者になってもらう等配慮する必要がございます。

個人診療時代受けて施設基準も、法人に取り込んだ後も引き継ぐことになりますが、その場合保険医療機関指定申請を提出するときに、医療法人と新診療所の名でもう一度施設基準を提出する必要がございます。

⑤その他

麻薬取扱の手続、生活保護法指定医療機関、労災指定医療機関、難病助成費指定医療機関、被爆者一般疾病医療機関、障害者自立医療機関も個人診療所に有している確認し、廃止、申請して新規診療所に引き継ぐ必要もございます。

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