医療法人解散の手続

出資して設立した医療法人の理事長を務めてきましたが、後を継ぐ者もいなく、引退を考えていますが、どうしたらいいでしょうか

まず医療法人を解散することが考えられます。解散する場合、①経過処置型(持分あり)医療法人と②拠出型(持分なし)医療法人とで異なります。

①経過処置型(持分あり)医療法人の解散

経過処置型(持分あり)医療法人については、解散清算の残余財産分配を請求する(医療法附則第10条)ことによって、払込済出資額の割合に応じて分配を受けることができます。  

②拠出型(持分なし)医療法人の解散

拠出型(持分なし)医療法人については、残余財産分配請求権はない(医療法第44条第5項、医療法施行規則第31条の2)ので、かかる払戻をうけることはできません。

もっとも基金拠出型医療法人については、解散前に基金返還の要件が整っていれば、拠出した基金について返還を受けることできます。

基金拠出型医療法人でも要件が整っていないか、基金制度が採られていない拠出型医療法人が、解散した場合、拠出した金額が返還を受けることはできません。           

解散清算後の残余財産は、定款で定める国、地方公共団体、公的医療機関、持分の定めのない医療法人に帰属させられることになります。(医療法第44条第5項、医療法施行規則第31条の2)解散前に理事長は退職慰労金等を受けることなどを行う必要があります。

これに対して、医療法人の譲渡して理事長を退職することをすすめるコンサルタント等もいますが、おすすめはできません。都道府県等は医療法人の譲渡は認めておらず、ことに医療法人が1年以上休眠していて、理事長が引退を考え譲渡される場合には、設立認可の取消の対象となる(医療法第65条)ので、取り消され譲渡できないことにもあります。平成29年度「全国医政関係主管課長担当者会議」の資料でも「正当な理由なく1年以上病院等を開設又は再開しないときは、設立認可を取り消すことができることとなっている。休眠医療法人の整理は、医療法人格の売買等を未然に防止する上で極めて重要であるので、実情に即して、設立認可の取消しについて適切に対応されるようお願いする。としています。

医療法人の解散の手続きはどのように行えばよいでしょうか

解散するには、社員の欠亡による解散の場合は届出で足りますが、届出による解散は認められにくく、通常は社員総会決議による解散により、解散認可申請になります。

解散認可申請は、医療審議会の諮問、答申のうえで、都道府県知事の認可を受けなければならない都合上、東京都の場合は年2回の決められた時期(設立認可と同じ時期)に限られます。

医療法人解散後・解散届提出後の手続はどのように行えばいいのでしょうか

医療法人を解散すれば、まず保健所に廃止届をすることになりますが、この廃止届は医療法人解散前にも出せます。 解散認可の場合には、

解散認可

  ↓

         解散登記、清算人就任登記(法務局)

  ↓

          官報に掲載して公告(2か月以内3回以上)                                                               ↓

       登記事項の届出(東京都)

              (清算人の名で清算時の登記所登録印で届出)

  ↓

          清算決了登記(法務局)

   ↓

              登記事項の届出、解散後の事業報告等提出書(東京都)
(清算人の名で清算時の登記所登録印で届出)

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