医療法人の社員総会議事録作成

医療法人の社員総会議事録を作成するには

そもそも医療法人の社員総会議事録とは

社員総会とは、医療法人社団の構成員である社員によって組織される機関です(医療法第46条の2)。社員総会は、社員の議決により、医療法人運営の重要な事項を決定します(医療法第46条の3、厚労省モデル定款第19条)。すなわち

①理事及び監事の選任解任(医療法第46条の5第2項、第46条の5の2第1項)

②定款の変更(医療法第54条の9)

③基本財産の設定及び処分(担保提供を含む)

④毎事業年度の事業計画の決定又は変更

⑤収支予算及び決算の決定又は変更

⑥重要な資産の処分

⑦借入金額の最高限度額の決定

⑧社員の入社及び除名

⑨解散(医療法第55条第1項第3号第2項)

⑩他の医療法人との合併若しくは分割に係る契約の締結又は分割計画の決定

⑪その他重要な事項

について社員総会の決議が必要です。

この医療法人の社員総会の議事について議事録の作成が要求されます(医療法第46条の3の6、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第57条第1項)。

社員総会議事録は、都道府県に提出する定款認可申請、理事長選任特例認可申請書、解散認可申請、役員選退任重任の医療法人役員変更届、定款等変更届、解散届等に添付することが要求されています。

医療法人の社員総会議事録に記載すべき事項

医療法人の社員総会に記載すべき事項は以下の通りです(ア~カは下記と対応します)。

            医療法人社団〇〇

            〇〇社員総会議事録ア

1.開催日時 令和〇月〇日     時  分~  時   分

2.開催場所 〇 〇 〇 において

3.出席社員 〇〇〇〇、 〇〇〇〇、〇〇〇〇イ

(本社団社員総数〇名のうち、〇名出席)

4.出席理事及び監事 理事長〇〇〇〇 理事〇〇〇〇 理事〇〇〇〇 監事〇〇〇〇ウ

5.議事録作成者 〇〇〇〇

本社団定款〇条第〇項の規定により〇〇〇〇は選任されて議長となり、定款〇条第〇項の規定する定足数を満たしたことを確認したのち、〇時〇分開会を宣し、議事に入った。エ

第1号議案  〇〇の件

第2号議案  〇〇の件

 ︰

以上をもって本日の議事を終了したので、議長は閉会を宣した。

                           (〇時〇分)

本日の決議を確認するため、出席社員(及び出席役員)の全員が記名捺印する。オ

                                            カ社 員(理事長)〇〇〇〇 印

社 員(理 事)〇〇〇〇 印

   社 員(理 事)〇〇〇〇 印

 監 事     〇〇〇〇 印

医療法人の社員総会議事録の上述の各記載事項作成のポイントは

ア 〇〇社員総会議事録

〇〇社員総会議事録の〇〇には定時(医療法第46条の2第2項)と臨時(医療法第46条の2第3項)が入ります。

なお、定時社員総会は医療法は1回以上と規定しています(医療法第46条の2第2項)が、厚労省のモデル定款の第17条の備考には、「定時社員総会は、収支予算の決定と決算の決定のため2回以上開催するのが望ましい。」とありますので、決算末の次年度収支予算の決定と決算開始直後の前年度決算の決定との最低2回の定時社員総会を行うことになります。

イ 出席社員

社員総会なので、出席社員は、何名出席したかだけでなく、必ず、社員の氏名まで記載しましょう。医療法施行規則第31条の3の2第3項第3号は特別利害関係を有する社員の名前しか要求していませんが、本当に社員が出席したか、またそもそも医療法人が社員を誰だか把握しているのか確認するため都道府県により、補正を求められることもございます。

社員の総数は原則3名以上です(神奈川県は4名以上)。社員総数が、役員の交代に伴う社員の退任等で足りなくなる場合、新役員のみならず、新社員も選任しましょう。足りないときは都道府県から早急に選任するよう指導されることもございます。

定足数は総社員の過半数です(医療法第46条の3の3第2項)が、過半数いても出席者が3名以下では多数決で決議できなくなるので、3名以上必要です。社員総会の定足数が足りないときも、社員が定足数出席できるときに開催するよう言われることもございます。なお、定足数は現に社員総会に出席している者の人数をいい、委任状による出席は認められません(医療法第46条の3の3第3項)。ただし、議決権行使は認められます(医療法第46条の3の3第5項)。

ウ 出席理事及び監事

社員総会であるので、理事、監事が社員を兼ねていなければ社員総会に必ずしも出席する必要はございませんが、出席した場合は議事録にその氏名を記載することが必要です(医療法施行規則第31条の3の2第3項第5号)。

もっとも、議事録の真正を担保するため医療法人の代表者印を最後に押印する必要があるので、理事長は社員でない場合も出席した方がいいでしょう。理事長を社員に選任するように要求してくる都道府県もあります。

エ 議事録作成者及び議長

議事録作成者(医療法施行規則第31条の3の2第3項第7号)とともに議長も議事録に記載する必要がございます(同条同規則第6号)。議長には理事長が当然なるものではなく、社員総会で選任されます(医療法第46条の3の5第1項)。

オ 出席社員(及び出席役員)の全員の記名押印とする。

社員数が多いなどで全員の記名押印が困難な場合、出席社員全員が記名捺印しなくても、議事録署名人を選任して署名することが認められています。その場合は以下のように別個に議案を立て議事録署名人を選任することが必要です。

第〇号議案 議事録署名人の選任

議長が発言し、議事録署名人の選任について述べたところ、〇〇〇〇及び〇〇〇〇を議事録署名人にすることを全員の一致をもって議決した。

以上をもって本日の議事を終了したので、議長は閉会を宣した。
(〇時〇分)

 以上、この議事録が正確であることを証します。

理事長     〇〇〇〇代表者印

 

議事録署名人(社員)〇〇〇〇 印

議事録署名人(社員)〇〇〇〇 印

カ 記名捺印の印鑑

記名捺印の印鑑は実印が望ましいですが、必ずしも実印でなくてもいいです。もっとも理事長の医療法人の代表者印は議事録の真正を担保するため必要です。

キ 都道府県に提出する議事録は原本の必要がありますか

原本でなくてもかまいませんが、写し(コピー)を提出するときには原本証明を写しに記載してください。

原本証明は以下のように記載します。

この議事録の写しは本社団の社員総会の議事録原本と相違ありません。

                令和〇年〇〇月〇〇日

医療法人社団〇〇 理事長 〇〇〇〇 代表者印

 

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