医療法人の理事になる者に制限があるのでしょうか、またいかなるものを理事に選任したらよいのでしょうか
医療法人の理事になれない者はどのような者でしょうか
理事の選任退任は都道府県に届出の必要がございます(医療法施行令第5条の13)。しかしこれは届出にすぎないので、理事の選任退任は社員総会決議によって効力を生じます(医療法第46条の5第2項)。もっとも社員総会によっても医療法第46条の5第5項医療法第46条の4第2項により以下の者を理事に選任できません。
①法人
②成年被後見人又は被保佐人
③医療法、医師法、歯科医師法等の規定により罰金以上の刑に処せられ、その執行を終り、又は執行を受けることがなくなった日から起算して2年を経過しない者
④③に該当する者を除くほか、禁固以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者
従ってこのような者は理事になれません。
理事に選任しなければならない者に制約があるでしょうか
まず理事は3人選任しなければなりません(医療法愛46条の5第2項本文)。但し都道府県知事の認可があれば1人又は2人の理事を置くこともできます(医療法愛46条の5第2項但書)。もっともこの認可については離島の場合等理事を3人選任できない例外的な場合にのみしか認めない都道府県もあります。
次に、医療法人の開設する病院、診療所、介護老人保健施設又は介護医療院の管理者は理事に選任しなければなりません(医療法第46条の6項本文)。但し医療法人が病院、診療所、介護老人保健施設又は介護医療院を2以上開設する場合において、都道府県知事の認可を受ければ、管理者の一部を理事に加えないことができます(医療法第46条の6項本文)。もっともこの認可についても離島など医療法人の主たる事務所から遠隔地にある病院等で管理者が理事会に容易に出席できない例外的な場合に限られた場合でないと認められない都道府県もあります。
管理者たる理事が管理者の職を退いた場合、理事の職を失うことになります(医療法第46条の7項)。この場合も理事が当然辞任するわけではなく、辞任届を役員変更届に添付するよう要求する都道府県もあります。
管理者たる理事が管理者の職を退いた場合にも、管理者を辞めた理事は理事の職を再任することができます。
管理者を辞任した理事が再任する場合で管理者の職を既存の理事が引継いだ場合は、管理者のみの変更なので、保健所に管理者変更を届出のみで、都道府県への理事再任の役員変更届は不要です。 管理者を辞任した理事が再任する場合で管理者の職を新理事長が引継ぐ場合、保健所の管理者の届出と都道府県への新理事就任の役員変更届も必要です。そしてこの役員変更届の添付書類の理事選任の社員総会議事録に「管理者の職を辞した理事が引き続き理事として再任する旨」を議案として議事録に記載することを要求する都道府県もございます。
理事に選任することが不適当な者はどのような者でしょうか
まず、未成年者が理事に就任することは適当ではありません。他に適当な人を探す必要があります。どうしても見付からない場合は成年になるまで待つか他に適当な人もみつからず成人まで待てないという理由等を示して①親権者の同意書や③誓約書等を提出する必要がございます。
また、理事に実際法人運営に参画できない名目的に選任されていることは適当ではございません。それゆえ遠隔地にいる者を理事に選任することが望ましくはございません。遠隔地にいても、理事会等に出席して業務に支障のないことの根拠となる資料等(誓約書等)を要求する都道府県もございます。
さらに医療法人と取引関係にある営利法人等の役員が医療法人の役員に就任することは原則として非営利性の観点から原則として認められません。都道府県から、医療法人の特定の営利法人との取引関係を解消するため、医療法人と取引関係のある営利法人の役員を他の者に変更するよう指導されることもあります。
これに対して、医療法人と取引関係にない株式会社等の営利法人の役員は医療法人の役員に就任できます。取引関係にないことの根拠となる資料(営利法人のホームページ、営利法人の登記簿謄本、誓約書等)を求める都道府県もあります。
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