医療法人の移転

医療法人の移転には

医療法人の移転には、(1)医療法人の診療所のみ移転する場合(分院の移転等)(2)医療法人の事務所のみ移転する場合(3)医療法人の事務所と診療所を一緒に移転する場合とがあります。

(1)医療法人の診療所のみを移転する場合(分院移転の場合)

医療法人の診療所の移転は、移転前の診療所を廃止して、移転後の診療所を開設することになります。

そのため、その手続は、移転前の診療所で行った手続を、移転後にもう一度やり直さなければなりません。

①都道府県の旧診療所廃止して、新診療所開設の定款変更認可申請(医療法第44条第2項第3号、同法第54条の9第3項)

②法務局への登記(組合等登記令第2条第2項第1号、同令第3条)

③保健所へ新診療所開設許可、開設届、エックス線装置設置届、旧診療所廃止届、エックス線装置廃止、

④厚生局へ旧診療所保険医療機関指定廃止届・新診療所保険医療機関指定申請、新診療所の施設基準の届出

⑤麻薬免許手続

⑥生活保護法指定等の廃止指定

等やり直す必要がございます。

(2)医療法人の事務所のみを移転する場合

これに対し事務所の所在地のみ移転し、診療所の移転を伴わない場合も定款変更が必要ですが、都道府県の認可は必要なく例外的に定款変更届をすれば足ります。(医療法54条の9第3項カッコ書、医療法施行規則第33条の26、医療法第44条第2項第4号)

もっとも、所在地を移転する主たる事務所が、都道府県をまたいで移転する場合、事務所の変更にとどまらず、監督官庁の変更も伴うので、定款変更届だけでは足りず、定款変更認可申請によらなければならない。

(1)②の法務局の登記は都道府県の届出前に行う必要があります(組合等登記令第2条第2項第3号、同令第3条)が、診療所を新規開設するものではないので③~⑥の手続は必要ございません。

(3)医療法人の事務所と診療所を移転する場合(本院移転の場合)

医療法人の本院を移転するように事務所と診療所をともに移転する場合は、移転前の診療所を廃止して、移転後の診療所を開設する手続を伴います。

そのため、その手続は、(1)と同様に移転前の診療所で行った手続を、移転後にもう一度やり直さなければなりません。すなわち

①都道府県の旧診療所廃止して、新診療所開設の定款変更認可申請(医療法第44条第2項第3号、同法第54条の9第3項)

②法務局への登記(組合等登記令第2条第2項第1号3号、同令第3条)

③保健所へ新診療所開設許可、開設届、エックス線装置設置届、旧診療所廃止届、エックス線装置廃止、

④厚生局へ旧診療所保険医療機関指定廃止届・新診療所保険医療機関指定申請、新診療所の施設基準の届出

⑤麻薬免許手続

⑥生活保護法指定等の廃止指定

等やり直す必要がございます。

なお、この場合①の都道府県に定款変更認可申請を行っているので、さらに事務所移転の定款変更届を事後に提出する必要はございません。

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