医療法人社団の社員

医療法人社団の社員に選任するものに制限はありますか、またはいかなるものを選任したらいいのでしょうか

医療法人社団に出資した者が社員になるのでしょうか。

社員とは医療法人社団たる団体の構成員で、従業員のことではございません。この社員には医療法人社団に出資した者が必ずしもなるとは限りません。

株式会社において会社に出資した者が株主(社員)になりますが、医療法人社団は法人に出資した者が社員となるわけではございません。出資していなくても、社員総会決議によって社員になることができ、また出資したものを社員から除名することができます(モデル定款)。そのため、出資者は投資対象として経過処置型医療法人社団(持分あり医療法人)に出資しても社員とならなければ、社員退社による持分払戻請求による投下資本の回収はできないことになります。医療法人解散時に残余財産分配請求によってしか出資した資金を回収うることしかできません。

医療法人社団の社員となる者に制限はあるのでしょうか

医療法人社団のうち社会医療法人社団については、社員と①その配偶者及び②三親等内の親族、③社員等と事実婚の関係にある者、④社員等の使用人及び使用人以外で社員等から金銭等を受けて生計を維持している者③と④の者の生計を一にしている親族(医療法施行規則第30条の35)が総社員の3分の1を超えてはならないという制約はありますが、それ以外の医療法人社団にはこのような制約はございません。

もっとも社員になるにはその意思で議決権が行使できる程度の弁別能力は必要ですが、この能力は未成年者であっても義務教育終了程度のものであればみとめられ社員になれます。

また社員総会の意思決定に参画できない者が社員になることも適正ではありません。

社員の選任退任は都道府県の届出は必要はございません。社員総会で社員を選退任し、社員名簿に記載して医療法人で社員名簿を備え置いておけば足ります。但し社員の定数は原則として3名以上必要です(神奈川県は4名以上)。これを欠けたときは、社員を選任するよう指導されることもあります。

社員はどのような者を選任したらよいでしょうか

社員は社員でが構成する社員総会の議決権は、株主のように持ち株数(出資額)ではなく、社員一人一個の議決権を有します(医療法第46条の3の3第1項)。理事を選任する等医療法人の支配権を有する社員総会は、この社員の頭数で決まることになります(医療法第46条の3の3第3項)。そのため、社員の過半数の支持を得られれは支配権を有し(医療法第46条の3の3第2項)乗っ取りが容易なので、社員には、信頼できる者に限って選任した方がいいでしょう。もっとも社員の定数は原則として3人なので、3人は選任する必要はございます。

理事は社員に選任する必要はございませんが、理事長は社員になるよう指導する都道府県もございます。

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